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男と男のたいまん勝負!鬼気迫るロシアの平手打ち選手権

びんたでひっぱたく男性

世界の至るところで強さやたくましさを競い合っている。スペイン・バスク地方に古くから伝わる「石上げ」もその典型だ。強さへのあこがれは男性が持つ本能かもしれない。そして、ロシアでは風変わりな一対一の決闘で剛健さを角逐する男たちがいる。

頬を手のひらで打ち合う決戦

この動画は2018年4月に行われたロシア*1の「サリチェフ・パワー*2・エキスポ*3 2018」で行われた競技の一つ「平手打ち選手権」の様子を撮影したものだ。舞台に上がった2人の男性たちが相手の頬を交互に一発ずつ打ち合い、相手が降参するまで続けられる単純かつ過酷な死闘である。

先攻が先に一発お見舞いできるので若干有利ではあるが、いざ戦い火ぶたが切って落とされれば、打ちつ打たれつの我慢競べだ。平手打ちを食らう方は顔を背けたりかわしたりはできないので、防御の要素は皆無で打撃をまともに受けることになる。相手が音を上げるまで頬から伝わる痛みに耐え抜く。まさに心身共に強靱(きょうじん)な人間の勝ち抜き戦となっている。

戦い終わった猛者たちの赤く腫れ上がった顔は誇り高き頑強の象徴でもあるはずだ。そして、彼らが見せる笑顔は戦い抜いた男たちの達成感に違いない。

「平手打ち法」と呼ばれる時代遅れの法律

男性の平手

平手打ちといえば、2017年2月にロシアで「平手打ち法」なる改正法が成立したのをご存じだろうか。この法律はロシア刑罰法116条の法律改正案であり、その内容はDV*4こと家庭内暴力に対する罰則が軽減される現代社会の風潮に逆行する法律である。

この法律によりDVは刑事罰から排除される。このような法律が成立した背景には妻子をたたいても問題視しないロシア人が少なからず存在する裏付けともなっている。そして、肯定派の中には子どもに対するしつけとしての体罰が必要と主張する声もある。

ロシアにあるDVホットライン*5「アナ・センター」が行った調査によると、ロシア人女性の3分の1が配偶者から暴力を受けた経験があると回答している。また、女性の権利躍進を目指す「ウィメンズ・マーチ」によるとロシアでは年間1万4000人の女性がDVで死亡していると報じている。つまり、この「平手打ち法」の改正によってDVによる被害を助長してしまう可能性がはらんでいるのだ。

ロシアの現状と比べれば、日本は幾分ましなはずだ。しかし、蝶野正洋氏から強烈な平手打ちを幾度となく食らい、痛みを熟知している月亭方正氏。彼が法改正に憤っている一人であることは間違いなさそうだ。

(出典:YouTube

*1:【Rossiya(ロシア)・露西亜】ヨーロッパ東部からシベリア・極東に及ぶ、東スラヴ系のロシア人を中心とする国。862年ノヴゴロド公国の成立に始まり、10世紀にはキエフ公国が栄え、13世紀モンゴル人に征服されたが、1480年モスクワ大公国が独立。ツァーリの専制権力を強化し、17世紀以降300年余りロマノフ王朝の絶対主義支配が続いたが、1917年の革命を経て、22年ソビエト社会主義共和国連邦が成立、同連邦内のロシア‐ソビエト連邦社会主義共和国となる。91年のソ連解体で独立。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*2:【power】力。権力。軍事力。活力。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*3:【expo】(exposition)万国博覧会。国際見本市。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*4:【domestic violence】配偶者や恋人など親密な関係にある人による暴力。ドメスティックバイオレンス。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*5:【hot line】緊急時に担当者に直接つながる電話回線。問題解決のための相談を受け付ける電話サービス。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)