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空想上の動物である竜!描き続ける一筆流晄秋家の職人

一筆で竜を描く芸術家

「職人」と聞いて思い浮かぶ一つに対象への強烈なこだわりではないだろうか。打ち込んでいることに対し、寝ても覚めても拘泥する印象が強い。そして、本動画に登場する「その道の専門家」も現実離れした動物の作品に執念を燃やしている。

世界でたった一つの竜を表現

本動画で紹介されているのは一筆竜を描く晄秋家。栃木県日光市に工房を構える職人である。一筆竜は江戸時代から伝わる伝統文化で、当時から商売繁盛や無病息災といった思いが竜に託されてきた。この晄秋家も先祖から受け継がれてきた伝統や技術を未来に継承するとともに、依頼者たちの幸福を願って描き続けている。一筆竜の職人は、依頼者の職業によって異なる表現を行っており、同じものが二つとして存在しない「唯一無二の作品」にこだわったものである。

そのように考えると、職人が描く竜の目やうろこの一つ一つが、なんらかの精神世界の入り口になっているのを表現しているのかもしれない。

文化によって異なる竜への認識

古城の近くを飛翔するドラゴン

「竜」と聞いて一体何を想像するだろうか。プロ野球ファン*1なら名古屋に本拠地を置く中日ドラゴンズ。プロレス*2ファンなら藤波辰爾氏の必殺技であるドラゴンスープレックス。そして、アニメ*3ファンなら鳥山明氏のドラゴンボールに登場する願いをかなえてくれる「神の竜」といったところだろうか。

竜は空想上の動物であるが、西洋と東洋で解釈が若干異なる。西洋文化では竜は2本足でコウモリ*4の羽を巨大化させたような大きな翼で空を飛翔(ひしょう)し、人間を恐怖に陥れる存在として扱われることが多い。一方、東洋文化では竜は神の化身としてあがめられ、開運をもたらす「縁起の良い動物」として認識されている。

そういえば、今や名作中の名作であるゲーム*5「ドラゴンクエスト」。1作目は主人公が竜王にさらわれたローラ姫を救い出すことが目的の一つだった。つまり、シナリオ*6を生み出した堀井雄二氏は西洋文化の影響を色濃く反映させたのだろう。だから、「ドラゴンは悪の権化」となり、古代欧州を描写したドラゴンクエストの舞台につながったのだろう。

片や「神様」で、片や「悪魔」。世界のここかしこで勃発している紛争のほとんどがこの図式に当てはまる。その価値観を埋められるのは一体なんだろうか。

(出典:YouTube

*1:【fan(アメリカ)】スポーツ・演劇・映画・音楽などで、ある分野・団体・個人をひいきにする人。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*2:(professional wrestling の略)興行として行う職業レスリング。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*3:【animation】少しずつ動かした人形、または少しずつ変化させて描いた一連の絵などを一こまごとに撮影し、これを連続映写して動きの感覚を与える映画・テレビ技法。漫画・劇画映画・テレビ番組の制作に使用。また、その映画・テレビ番組。動画。アニメ。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*4:【蝙蝠】(カワホリの転)コウモリ目(翼手類)の哺乳類の総称。前肢の指が長くのび、その間にある飛膜が翼に変形して、哺乳類で唯一よく飛ぶ。昼は暗所に潜み、日暮から活動する。アブラコウモリ・キクガシラコウモリなど。蚊食い鳥。へんぷく。天鼠。〈 夏 〉。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*5:【game】遊戯。勝負事。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*6:【scenario】映画・放送などで、場面の順序、俳優の台詞(せりふ)・動作などを記した台本。脚本。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)