新鮮なバナナを使いこなして絵画や彫刻を生み出す芸術家
料理は味覚と視覚で楽しめる。ユネスコ無形文化遺産に登録された和食だけでなく、中華料理やタイ料理など幾多の料理で、料理人たちがしのぎを削っている。しかし、本動画の芸術家が表出する「別天地」に足を踏み入れた料理人はいないはずだ。
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バナナは画材のみにあらず
バナナ*1の皮をカンバス*2代わりに絵を描く芸術家。凡人のわれわれからすれば、表面が平べったくない場所にペンを走らせるのが面倒に思えるかもしれない。
ところが、彼はバナナを一見しただけで、描写したいものが念頭に浮かぶ独創性に満ち満ちた才能の持ち主だ。サッカー*3で「ファンタジスタ*4」と評される人種と同類項である。彼の着想は絵だけにとどまることなく、バナナの皮を駆使した彫刻まで自由に扱ってしまう。こだわりは極力黄色い新鮮なバナナを買うこと。つまり、比類なき才能を発揮するため、新鮮なバナナが不可欠といったところではないだろうか。
ところで、このバナナを素材にした作品は短命といえる。春の一時期だけ見頃を迎える桜と同様で、美しい時期が短いからこそ、生への意識と「繊細美」を同時に感じさせられる側面もあるのではないだろうか。
目に見えるものがアートの素材
本動画で紹介されているステファン ブルスケッタ氏に限らず、食べ物とイラスト*5を掛け合わせてアート*6の領域にまで高めた好例はいくつも存在する。
アボカド*7の種と実を使って人間の目を表現した作品や、色鮮やかなドーナツ*8を魚の口に見立てた作品など思わず一笑してしまう世界観も存在する。でっかい地球には一見ばかばかしいと思われることも、本気で取り組み続けて結実する物語も少なくない。
そういえば、10年以上前に「料理の鉄人」という人気番組があったが、この番組内でも道場六三郎氏をはじめとした料理の鉄人たちが、限られた時間の中で。自らの料理に一種独特の演出を施していたものだ。
日々アートに突き進む芸術家にとっては目に見える万物が芸術表現の素材なのかもしれない。しかも、果物のような足が早いものまで創造の範囲に入ってくるのだ。「日持ちしないからもったいない」などの皮算用は無用の長物のようだ。
彼らの頭の中は、何かを表現することにエンジンという名の想像力を全開にしているのかもしれない。「ハングリーであれ、愚か者であれ」は故スティーブ・ジョブス氏の名言であるが、創始者が固定概念をぶち壊し、新時代を切り開くのだろう。
i Banana(アイ バナナ)が発売される日はそう遠くなさそうだ。
(出典:YouTube)
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*1:【banana・甘蕉】バショウ科の多年草。雌雄異花だが、ふつう単為結実し、種子を作らない。熱帯アジア原産。ブラジル・インド・フィリピンなど熱帯各地で広く栽培される。果実は熟すと黄色になり、芳香美味。生食用のほか料理用など品種が多い。日本では主にフィリピン・エクアドルなどから輸入。実芭蕉。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)
*2:【canvas】麻などの布地に膠(にかわ)やカゼインなどを塗り、更に亜麻仁油・亜鉛華・密陀僧(みつだそう)などをまぜて塗ったもの。木枠に張り油絵を描くのに用いる。画布。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)
*3:【soccer】フットボールの一種。11人ずつの二組が、ゴール‐キーパー以外は腕や手を使わずに、ボールを蹴り、また頭で打って、相手方ゴールに入れて、一定時間内での得点を争う。蹴球(しゅうきゅう)。ア式蹴球。アソシエーション‐フットボール。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)
*4:【イタリア fantasista】卓越した技術をもち,華やかなプレーで観客を魅了するサッカー選手。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)
*5:イラストレーションの略。特に、見て楽しいように誇張・変形した絵についていう。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)
*6:【art】芸術。美術。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)
*7:【avocado】クスノキ科の高木、また、その果実。熱帯アメリカ原産で樹高6~25メートル。果実は緑褐色、西洋梨に似た形で、脂肪に富み、生食。「森のバター」と呼ばれる。ワニナシ(英語名アリゲーター‐ペアの直訳)。アボガド。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)
*8:【doughnut】小麦粉に砂糖・バター・卵・ベーキング‐パウダーまたはイーストなどをまぜてこね、輪形・円形などに作って油で揚げた洋菓子。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)