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大谷翔平選手が気付かせた野球の魅力と新しい価値観とは?

歓声に湧く野球場

来期にはポスティングシステムによる大リーグ移籍が濃厚なことから、故障で戦線離脱している現状は、ファンからすれば歯がゆい部分もあるだろう。その大谷選手が殊更に気付かせてくれた、野球の魅力と新たな価値観について探っていきたい。

2017年12月20日:用字用語の整理。

大谷翔平という存在が示した純粋な野球の魅力

言うまでもなく大谷選手は、前代未聞の投手と野手の二刀流に挑戦した。「できるわけがない」「プロ野球をなめるな」といった逆風もあった中、着実に実力を磨き、結果を残してきた。

実際に1番投手で先頭打者ホームラン。DH*1こと指名打者で出場し、9回から抑えで登板した際には165キロを投げ込むなど、まるで漫画の主人公のような大車輪の活躍をみせた。

いい意味で多くの予想を裏切られたことへの仰天。桁外れに素晴らしい「投げて打って走って」を見せつけられて組成された期待感。これらは子どもの頃、野球にのめり込み楽しみで仕方なかったときによく似た、純粋な「わくわく」をわれわれに呼び起こしてくれたのだ。

もしかしたら、これから先にここまで高水準な投球や打撃、さらには走塁にまで能力を兼ね備えた選手はもう現れないのかもしれない。

魅する野球の楽しさを自身のプレーを通じてプロ野球ファンに伝えてくれた大谷選手は、「真のプロ」と呼ばれてしかるべきだ。

投手兼野手として、どこまで成績を残すのか?

プロ野球ファンが興味深いのは二刀流の大谷選手がシーズンを通して、どこまで成績を残すことができるかだろう。実際に昨季の成績を基に、フルシーズンけがなく投げたとすると20勝以上。打っては中田翔選手と同打数と仮定すれば、35ホームラン以上の成績が想定される。

  • 投手で20勝
  • 打者で35ホームラン

投手と野手を掛け持ちでフル出場することは、体力的な側面からも考えにくい。それでも、大谷選手ならやってのけてしまう気がするのは、ほかならない怪物と呼ばれている彼の実力故である。

ますます期待は高まり、大リーグ*2やWBC*3での活躍など、さまざまな空想に思いをはせる。このスケールのでっかさも彼だからこそである。

投打でチームに貢献する新しい形式の創出

プロ野球選手であれば、これまで個人成績、タイトル獲得といった結果がその選手を評価する一つの基準になってきた。

しかし、大谷選手は投手と野手の二刀流によってチームに貢献している。これまでにはない新たな価値観を創り出したのだ。

投手と野手をこなしていくために、投手のみ、野手のみの選手と比べて調整期間は必然的に限定されるし、もちろんのこと試合出場の機会も制限される。

だから、規定投球回数と規定打席に到達することができず、タイトル獲得も難しくなってしまう。

しかし、個人タイトルの物差しでは決して測ることができない優勝への貢献度では、2016年の大谷選手は他の選手の追随を許さなかった。

投打ともに規定投球回数と規定打席には未達でありながらのMVP獲得は、これまでとは一線を画す野球界の固定概念を覆すものであったと言えるだろう。

まとめ

大谷翔平選手は前代未聞の二刀流に挑戦し、着実に成績を残すだけでなく想像をはるかに超える強い影響や印象をわれわれに与えてきた。

その道のりは野球というスポーツの持つ楽しさや喜び、感動を再認識させてくれる過程でもあった。投手、野手としての可能性、さらには二刀流としての可能性。それらを想像させることは、プロ野球ファンに夢を与えることになったのだ。

そして、一部において偏向していた野球界に風穴を開け、新たな価値観を見いだせた。これこそが歴史的な快挙であり、彼の最大の魅力なのではないだろうか。

読者にはビールと日本酒の二刀流で不名誉なタイトルだけは、獲得しないでもらいたい。

*1:〔designated hitter〕野球で,打順が投手のとき,投手に代わって打つように指名されている打撃専門の打者。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*2: 【大リーグ】アメリカのプロ野球で,最上位の連盟。ナショナル-リーグとアメリカン-リーグの二つがある。メジャー-リーグ。ビッグ-リーグ。MLB。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:【World Baseball Classic】アメリカの大リーグ機構と選手会が主催する,野球の国別対抗戦。第 1 回大会は,北米・南米・アジア・ヨーロッパなどから 16 の国・地域が参加し,2006 年 3 月に開催され,日本が優勝した。WBC。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)