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海外に拠点を置く「タイ王国領事館」とはどんな施設?

日没間もないバンコクの夜景

日本にもあるタイの領事館。われわれの日常生活においては、あまりなじみのない施設かもしれない。しかし、外国にも公館の一つである日本国の領事館が存在している。一体どのような活動を主としているのだろうか。タイ王国領事館を例に見ていきたい。

領事館と大使館の違い

裁判官が使う小づち

一般的に大使館*1は外交のために使う施設で、治外法権*2が適用される。領事館*3は自国民の保護や通商関係の援助、ビザ*4の発行事務所の役割を担っている。

日本にあるタイ王国領事館の場所

鳥瞰(ちょうかん)した日本の都会

一般人の活用度合を尺度にすれば、タイ王国領事館は「タイのビザが取得できる場所」になるだろう。日本にいながらも申請が可能で、国内では大阪と名古屋に加えて在東京タイ王国大使館の領事部の三箇所で受け付けている。

日本からタイへの旅行者・移住者が多いことの裏付けにもなっている。観光大国であるタイは、その他にも米国、英国、豪州、香港、その他世界各国の主要都市に領事館を設置している。

タイ王国領事館に行くのは誰か?

割られたドアのガラス部分

日本を除く海外に拠点を置くタイ王国領事館を日本人が訪れるとすれば、滞在期間の延長を目的とする観光ビザの取得が大多数になるだろう。

仮にタイ滞在中に邦人*5の身に危険が及び、駆け込むのは「日本国大使館」であってタイの役所ではない。くれぐれも間違いないように注意してもらいたい。また、紛失することも想定して、身分証明としてのパスポート*6の写しは常備しておきたい。

先述したように不慮の出来事に遭遇してしまった場合は「自国の大使館」に援助・保護・相談を求めに行くのが正しい。従って、タイ王国領事館からすれば、日本人や外国人が訪れることを「ビザ取得」とほぼ等しく結び付けているだろう。

各国で異なるタイ王国領事館?

色鮮やかな世界地図

他国のタイ王国領事館を訪れると、事務員はビザ発給のために来たことを理解し、直ちに手続きに入ってくれる。もしビザ発給以外の目的で訪れたのであれば、事前に説明しておくべきだろう。

事務員は現地採用なのでタイ人ではなく、事務手続きを含めて領事館自体がその国の情緒を反映したものとなる。例えば日本にあるタイ領事館は日本らしい雰囲気になり、ラオスにあるタイ領事館はラオス風になる。厳密に言うと「違いなどないはず」と豪語されるかもしれないが、確然たる格差を感じたのも事実である。

日本のタイ王国領事館は親切で気配りが行き届いているものの、書類の審査には厳格である。それに対して、ラオスのタイ領事館は愛想のない対応だが、書類の適否は緩い印象を受ける。一例を挙げれば、書類審査に指定されている写真の大きさも、はみ出していようがなかろうが受理してくれる。ただし、担当者によって大なり小なりの差があることは考慮に入れておいてもらいたい。

タイ王国領事館の閉館日には要注意!

大昔のカレンダー

タイ王国領事館は他国に設置されているとはいえ、タイの公官庁の施設だ。従って、タイの祝祭日に合わせて閉館日が決められている。日本の暦通りだと思い込んで、痛い目に合わないよう注意してもらいたい。また、日本にあるタイ王国領事館は日本の祝祭日も閉館していることを覚えておこう。

まとめ

仏像の横顔

普段あまり関わりの少ない「タイ王国領事館」だが、ビザによるタイでの長期滞在を望むのであれば、必ず訪れなければならない場所となる。ビザ発給の準備として、タイの祝祭日に注意して休館日を押さえておかなければならない。そして、取捨選択を判断できかねる書類も手間を惜しまず、そろえて持参するのが最善だ。

タイ王国領事館の内装・設備や指定されている書類からも「タイ王国」が醸し出される。そして、「異国にある異国」を感じられる一種独特の施設でもあるのだ。

雲霞(うんか)のごとく訪れるビザ申請者の書類に目を通し、タイ王国領事館では日々膨大な数のビザを発行してくれる。そのおかげで、つつがなくタイに滞在できると思えれば、感謝の念に満たされるはずだ。

まさか「ほほ笑みの領事館」で怒鳴り散らかすようなことはないように。「いたい」のは分かるのだが。

*1:駐在国において,大使が事務を執る館舎。国際法では,本国の領地と同一にみなされ,不可侵権をもつ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*2:外国に存在する人や物が,その国の外にあるかのように扱われ,当該外国の管轄権,とりわけ裁判権に服しない権利。〔外交特権は治外法権に基づいて認められるとされていたこともあるが,外国の領域主権が完全に排除されるわけではないので,今日では治外法権を根拠とする考え方はとられていない〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:領事が駐在国においてその職務を行う役所。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*4:【visa】その外国旅行者が正当な理由と資格で旅行するものであることを証明する旅券の裏書き。通常,行先国の駐在領事が行う。入国査証。査証。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*5:わが国の人。日本人。現在は,外国にいる日本人をいうことが多い。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*6:【passport】旅券。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)