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ドラクエ11に絡むロトシリーズと舞台なるアレフガルドの謎

アレフガルドの地図

ドラクエ11とロトシリーズが密接な関係なのは、既にファンの間で知れ渡っている。しかし、ロトシリーズとその舞台であるアレフガルドには、いまだに解明されていない部分も多い。その幾つかの謎を拾いあげていきたい。

2017年10月24日:用字用語の整理。

謎多きロトシリーズ

ロトゼタシアを駆ける主人公

ロトシリーズでは、発売当時のファミコン*1の容量が小さく、一部の物語が割愛されたとよく耳にする。裏返せば、解き明かされていない不可思議が散在していることになる。アレフガルドを中心にその謎を見ていきたい。

ロトの洞窟

光が差す洞窟の入り口

「1」の世界に存在する「ロトの洞窟」。そして、「3~そして伝説へ…」にも「ラダトーム北の洞窟」や「勇者の洞窟」と呼称は定まっていないが、同じ場所に存在していた。

しかし、双方は内部の構造が異なり、1の数百年前にはラダトーム北の洞窟には地下3階まであった。

魔王の爪痕

ラダトーム北の洞窟はそもそもなぜ存在していたのだろうか。大魔王ゾーマが誕生したときに、できたのだろうか。地下3階はゾーマが異世界からアレフガルドにやってきたときの通過地点であり、出口である。そのときにできた穴は、全てを拒む「魔王の爪痕」として、ゾーマが絶命するまで、ぽっかり口を開けていた。

この魔王の爪痕はゾーマの息が絶えた後、洞窟の地下3階もろとも消滅した。この穴がなんなのか。ゾーマの死後、どうして消滅したのか。作中では一切語られていない。ゾーマを撃退した後に3の主人公たちが脱出した場所こそが魔王の爪痕ではあるが、わざわざそのためだけに在ったのではないだろう。容量の都合で惜しまれながら省略された要素が、きっとあったに違いない。

ドラクエ11の時間の流れが「11→3→1→2」と仮定すれば、ゾーマがかつて「魔王の爪痕」に至る前にいた、ひび割れの向こう側の世界が描かれる可能性も十分に考えられる。

石版をわざわざ洞窟にこしらえた理由

土壁に刻まれた象形文字

ロトの洞窟では、勇者ロトの石版が地下2階に存する。そこには魔王の島へ渡るための方法を次のように記している。

わたしのなは ロト。
わたしの ちをひきしものよ。
ラダトームからみえる まのしまに わたるには 三つのものが ひつようだった。
わたしは それらを あつめ まのしまに わたり まおうを たおした。
そして いま その三つの しんぴなるものを 3にんの けんじゃに たくす。
かれらの しそんが それらを まもってゆくだろう。
ふたたび まのしまに あくが よみがえったとき それらを あつめ たたかうがよい。

では、ロトがそこに残した理由はなんだろうか。数百年後の1では魔物が生息することができない神聖な場所になっている。すなわち、聖なる力を駆使できる何者かが関与していることが濃厚だろう。そうなると、精霊ルビスがこの場所に石版を作ったことが疑われる。

そして、地下3階に大きな口を開けいた魔王の爪痕がゾーマが消え去り埋没した後は、その隙間から漏出する不吉な力を封じ込める目的で聖なる力の宿った石版を建立したのではないだろうか。

なぜギアガの大穴は閉じてしまったのか?

大地にぽっかりと開いた大きな穴

大魔王ゾーマを打倒し、ラダトーム北の洞窟から抜け出した後、闇の世界は明るくなった。しかし、アレフガルドの高空にあるギアガの大穴は閉ざされ、勇者たちは古里である上の世界に帰れなくなってしまった。果たして、なんのために、誰が閉じ込めたのだろうか。

精霊ルビスが閉じ込めた?

大魔王ゾーマを倒した後、ラダトーム北の洞窟の地下3階が埋没してしまったことも、ギアガの大穴が塞がってしまったことも、既存の登場人物で実行能力があるのはルビス以外に見当が付かない。勇者たちを上空のアリアハンに帰郷させて、めでたしめでたしの結末を迎えることはなかったのだ。

ルビスは思惑はどこにあったのだろうか。数百年後に猛威を振るう、新たなる大魔王の襲来を予見していたのだろうか。そして、その打倒には勇者の子孫たちが必要不可欠の救世主になり得るため、苦渋の決断をしたのかもしれない。

雨と太陽が合わさるとき、虹の橋ができる

大空に架かる虹

この伝説は、3の頃から実在し、1の時代にもそのまま伝承されている。しかし、3の主人公の父親であるオルテガは、古くから伝わる言い伝えなどは、どこ吹く風、泳いで渡っている。そして、2の時代にはリムルダールの北西に何もせずとも橋が架かっている。

ドラゴンクエストの虹の橋

闇の世界を支配するゾーマがアレフガルドに災いをもたらしているときは、虹のしずくによって架けられた橋が重要な通行手段になっている。この言い伝えは3の時代よりはるか昔より語り継がれてきたと思われる。ドラクエ11のPV*2で空に架かる虹が描かれているので、もしかしたら「虹の橋」の秘密が語られるかもしれない。

地下世界アレフガルド

不穏な雰囲気の世界

3では、勇者の古里である上の世界と、1・2の舞台であった、アレフガルドの二つの世界を往来できる。発売当時の設定資料において、この二つの世界は「上の世界」と「地下世界」と表現されていた。この上下の世界の関係は一般的に異世界と解釈されているが、今回は「地下」という言葉に着眼する。そして、二つの世界を上下に重ね合わせて考察していきたい。

上下の世界の関係について

魔王バラモスをやっつけた後、ギアガの大穴の壁が崩壊し、アレフガルドへと行き来できるようになる。ただし、この以前から、下の世界に多数が引き移っている。事実、アレフガルドには、たどり着いた人々が暮らしている。以下がゲーム内で確認できる人々の一覧である。

アレフガルドに渡った人々と、最終的にたどり着いた場所
  1. ギアガの大穴の兵士:大穴 → ラダトーム城2階ベッドの上
  2. カンダタ:??? → ラダトーム城下町
  3. 踊り子(SFC*3版のみ):アッサラーム → ドムドーラ宿屋2階
  4. ジパングの鍛冶夫妻:??? → マイラ
  5. オルテガ:火口 → ラダトーム城
どのようにたどり着いたか?

上の世界と下の世界を重ね合わせた架空の地図

  • 赤丸は上下の世界が重なっている箇所(仮説)
  • 白色は上の世界の地名
  • 黒色は下の世界の地名

ここに述べるのは根拠が乏しく空想の域を出ないことをお断りしておきたい。

  1. 兵士はラダトーム西のほこらに落ち、命からがら城まで達したのではないだろうか。SFC版では、城2階の宿で看病を受けている。
  2. カンダタはバハラタ以降の行動が一切不明だが、名宝を求めてネクロゴンドの地に赴いたのではないだろうか。その道中、なんらかの形で下の世界に漂着し、性懲りも無く悪事を働き続けた結果、投獄されたと予想される。
  3. 踊り子は、おたんちん *4に追い回され、アッサラームから忍び出て、下の世界へ渡ったと思われる。踊り子がいた上の世界は前述の火口から比較的近い位置にあるため、オルテガと同様の手段で下に行き着いたのかもしれない。最終的にはドムドーラに落ち着いている。街や周りの景色が古里と似通っていたのだろうか。
  4. 鍛冶夫妻は、当人たちの証言から、国で起きた災難から逃げ延びてマイラに到達したとあるので、ジパング付近からやって来たと読みたい。なぜなら、日本には大昔から神隠しなどの言い伝えがあるからだ。
  5. オルテガは激闘の末、火口に落下して、亡くなったと思われていた。しかし、実際は死を免れて、下の世界に行き着いていた。火口付近に下につながる抜け穴が存在したのだろうか。瀕死の傷を負いつつも城周辺に達したはずだ。

考察についての欠点

この考察の欠点は、大穴とジパングの距離から単純に上と下を線で結ぶと、地図上の距離が釣り合わず、アレフガルドが異常に大きくなってしまうことだ。また、上から下に来た渡来人の描出が限定的なため、空想の比重が高くなってしまう嫌いがある。

ただし、発売当時話題になった「地球地下空洞説」など、地下を連想することが流行していた。「大穴」や「地下世界」という言葉をドラクエの制作側が取り入れている以上、「異世界」と表現するよりも、「上下につながる世界」の方がしっくりくるのではないだろうか。

まとめ

満点の星空

今回はドラクエ11で取り上げられることを期待し、ロトシリーズに残された、あまたの謎を追ってみた。発売当時は語り尽くされなかった物語たち。結果として、それらはドラクエファンに探索・探求する余地を与え「わくわく」を残してくれた。そして、1発売から30年の時を経て、どのように点から線につなげられるのだろうか。

ドラゴンクエストにまつわる話題は尽きないが、「急ピッチで記事を公開」という名の冒険は先送りにしよう。

(出典:株式会社スクウェア・エニックスPledge of BAHAMUT

*1:テレビ-ゲーム用コンピューターの商標名。ファミリー-コンピューター。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*2:〔和製語 promotion+video〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:【Super Famicon】テレビ-ゲーム用コンピューターの商標名。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*4:〔遊里語〕嫌いな客。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)