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不名誉なメダル?バンコクの交通渋滞はものすごい!

夕刻のバンコク・ラッチャダーピセーク通りの交通渋滞

バンコクの道路を埋め尽くす「自動車の群れ」は印象的だ。交通渋滞が悪化すると、最寄りの駅までは、タクシーよりも徒歩の方が速いこともざらにある。日本の道路の混み具合なんて比べ物にならない。そんな観光客をも悩ますバンコクの交通渋滞を捉えてみた。

2017年10月24日:用字用語の整理。

バンコクの交通渋滞は世界何位?

日中のバンコク・スクンビット通りの交通渋滞

意外にも日本の都市は上位200位に入っていない。そう考えると人口の多い中国やインドの首都近郊が頭をよぎるのだが、バンコクの車が進めないありさまも、なかなかひどい。

果たしてどのような順位付けになっているのだろうか。予想だにしなかった国や都市がいくつか並んでいるはずだ。

世界各都市の交通渋滞ランキング(2017年8月10日現在)

  都市
1 メキシコシティ メキシコ
2 バンコク タイ王国
3 ジャカルタ インドネシア
4 重慶 中国
5 ブカレスト ルーマニア
6 イスタンブール トルコ
7 成都 中国
8 リオデジャネイロ ブラジル
9 台南 台湾
10 北京 中国

(出典:TomTom Traffic Index

上記のデータによると、なんとタイ・バンコクは世界第2位となっている。上位10番目まではアジアの7都市が占めているが、内3都市が中国となっている。インドの各都市はいずれも200位圏外であった。

タイは日本のように「100万都市」が10数カ所も存在せず、バンコクに人口が一極集中している。そのため、タイの他の都市は200位圏内に入っていない。

いずれにしても、誇り高きタイ人にとっては、不名誉な「銀メダル」に違いない。

バンコクの交通渋滞における実態

日中のバンコク・ラーチャダムリ通りの交通渋滞

バンコクの交通渋滞は、高架鉄道のBTSことバンコク・スカイトレインが走る「スクンビット通り」の「サイアム駅」から「プロンポン駅」が最も滞留する。その中でも「アソーク駅」の高架下は「魔の交差点」と呼ぶにふさわしいふん詰まりっぷりだ。ましてや金曜日の夕方や土砂降りの日ともなると、車が微動だにせず、目の前の交差点を通り過ぎるのに、小一時間かかることすらある。

また、ビジネス街の「サトーン地区」などを中心として、朝夕の通勤・退勤ラッシュは当事者なら目を覆いたくなる光景のはずだ。そこで、7時から9時および17時から19時を回避して通勤・帰宅する会社員も多いと聞く。

バンコクのラッシュアワー*1

  時間帯 理由
1 7:00~9:00 通勤ラッシュ
2 15:00~ 学生の出迎え
3 17:00~19:00 帰宅ラッシュ

ここ最近の交通渋滞には、これまでと少し差異のある傾向もみられる。それはバンコクの中心地だけでなく、郊外でも滞留が頻発していることだ。原因はBTS(高架鉄道)や地下鉄のMRTことバンコク・メトロが地方にもどんどん延びているからだ。延伸工事の影響の他に、新設される駅前に分譲マンションなどの住居地域を開発することも関係しているようだ。

バンコクで交通渋滞が生ずる根本的な原因とは?

バンコクの道路を疾走するエアコンバス

では、バンコクの交通渋滞はなぜ引き起こされるのだろうか。日本とは異なる、考え得る幾つかの誘因を挙げていきたい。「知恵と力は重荷にならぬ」というので、回避する一つの契機になれば喜ばしい。

道路計画の問題

道路の配置に欠陥がみられる。入り込んだ狭い道であるソイこと小路が行き止まりになっていたり、大通りと直結していなかったりすることが多い。また、大通りも車線規制がされていたり、一方通行になっていたりする。そのため、円滑に通り抜けることができず、遠回りする必要を迫られる。

運転技術と運転マナーの低さ

無試験ではないものの、外国人でも取得できるほど、難易度が低い。それ故、運転技術と交通法規の理解に支障を来すのは必然である。

日本の常識を当てはめるのは少々酷だが、タイ人の運転技術と運転マナーは褒められたものではない。例えば右折車は右折レーンで待機するのが当然だが、タイでは右折レーンの外側、さらに外側から割り込んで右折する車をしょっちゅう目にする。そのため、3車線あっても、直進車は1車線しか使えていないことが多い。

非効率な手動の信号機

警察官による手動の信号機があちこちに点在する。これは交通渋滞の緩和のため、赤と青を切り替えているのだが、逆効果となっているのも否めない。あえて苦言を呈すれば、警察官のさじ加減一つで決めてしまうからだ。

仮に東西南北の交差点があれば、東西あるいは南北が同時に青信号になるのが一般的な日本の信号機である。しかし、タイでは北のみ、東のみのように一方向だけが青信号になる。警察官の判断によっては、西のみずっと飛ばされることもあり得るわけだ。これが輪を掛けて停滞を悪化させる原因にもなっているはずだ。

ただ、ご老人が通行し終わるまで、交差点の全てを赤信号にしていた。そんな美談もあるようなので、一概に非難すべきでないかもしれない。

バンコクの交通渋滞への対応策

バンコクの高架鉄道・スカイトレイン

もし、タクシーに乗車しているときに、交通渋滞に捕まってしまったら、BTS(高架鉄道)やMRT(地下鉄)に乗り換えることをお勧めする。タクシー運転手に最も近い駅で降車することを速やかに伝えよう。ただ、この場合でも時間の浪費は覚悟しなくてはならない。

交通渋滞の頻度が高い場所に向かう場合、迷わずBTS(高架鉄道)やMRT(地下鉄)を利用すべきだ。停滞が激化してくると、乗車を拒否するタクシーも続出するから注意してほしい。

特に帰国のために空港に向かう場合、細心の注意を払うべきだ。日本と同様に「少しずつなら車が動く」と高を括ると、どつぼにはまってしまう。

ただ、いかなる状況においても、バイクタクシーで車の間を擦り抜けるのは、やめておくのが無難だ。事故を起こすと自己責任になるし、なんといっても「命あっての物種」だからだ。

まとめ

げたに盛られたおすし

最善の対処方法はBTS(高架鉄道)やMRT(地下鉄)で、なるべく目的地の近所まで移動し、そこからタクシーに乗車することだ。

ほほ笑みの国タイで、交通渋滞にいらいらするのは、ばからしい。どうやらタイを楽しむには、「世界第2位」とうまく付き合うことが肝要なようだ。

タイでは空前の日本料理ブーム。「すし詰めの自動車」といったところか。

*1:【rush hour】通勤者・通学者などで乗り物が混雑する時間帯。ラッシュ。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)