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疾風迅雷の表層雪崩に追い掛けられるスノーボーダー!

表層雪崩から必死で逃げようとするスノーボーダー

晴れた冬の日にスキーやスノーボードで斜面を滑走すると、なんとも例えようがない爽快さを味わえる。自然を背景に風を切り、自力で滑り降りる感覚は非日常的な醍醐味(だいごみ)がある。ただし、滑降するのは人間だけではないのでご用心。

急斜面に積もった雪が大量に崩れ落ちる

フランス*1とスペイン*2の国境沿いに連なるピレネー*3山脈。この山脈にあるスキー場で1人のスノーボード*4を操るスノーボーダーが滑走を始める。どのくらいの角度の急斜面かは不明だ。しかし、動画で見る限り、切り立った傾斜なのは間違いない。しかも、処々方々で岩肌がむき出しになっているため、少しでも進路を誤ろうものなら、命の保証ができないような過酷な条件である。

スノーボーダーが急斜面を滑走してしばらくすると、後方から殺人的な速度で襲い掛かる真っ白な雪。その雪崩*5はゆっくり広がったかと思えば、一気に波及して辺り一面の雪を巻き込んでスノーボーダーに急接近してきたのだ。勢いを増した雪崩はスノーボーダーと目の鼻の先まで詰め寄る。

一瞬の迷いや失敗が命取りになる状況下だが、スノーボーダーは速度を落とさずに正確な行路を見極め、まるで何事もなかったかのように平地にたどり着いた。そして、無事に逃げ切ったのを喝采でたたえる仲間たちであった。改めて自然の恐ろしさと人間のちっぽけさを痛感させられる一場面であった。

雪崩が発生する原因

雪山の傾斜の急な斜面

雪崩は斜面にある雪や氷が重力の影響で流れ落ちる現象である。元々ある積雪面の上に積もった新雪が重力で滑り落ちたり、人や動物が斜面を横切ることで雪同士の結合が一時的に弱まったりし、雪崩の発生する要因となっている。

時々スキー場で誰かが滑った後に数メートルの範囲で雪がさあっと滑り落ちる場合もある。この現象も雪崩と同様である。雪崩が発生しやすいのは傾斜30度以上ある斜面とされている。日本は世界でも有数の豪雪地帯かつ国土の約7割が山地のため、雪崩が発生しやすい環境といえる。国土交通省*6のデータ*7*8によれば、発生件数は年間平均で4件ほど。そのほとんどが1月か2月に発生している。

本動画ではスノーボーダーの仲間たちが「レッツゴー*9」とからかい半分だったが、同じような状況に遭遇したら、目を逸らさないで無事に滑り終えるか雪に埋まっていないかを確認してほしい。何事でも同じだろうが、早期発見に勝る危機回避はないはずだ。

ただし、早い時期に発見しても徒労に帰す例もある。それは私のような「ばかに付ける薬はない*10」からだ。

(出典:YouTube

*1:【France・仏蘭西】ヨーロッパ大陸西部の共和国。古くはガリアと称しローマ帝国の属州、5世紀にフランク王国が成立、その後分裂したが14~15世紀の百年戦争を経て統一国家を形成、17~18世紀ヨーロッパ大陸に覇を唱え、アジア・アフリカに植民、高度の近代文化を築いた。1789年のフランス革命で第1共和制が成立、のちナポレオン1世による第1帝政、その没落後、王政復古および第2共和制・第2帝政を経て1871年第3共和制、第二次大戦後第4共和制、1958年ド=ゴールによる第5共和制で今に至る。面積55万1500平方キロメートル。人口6140万(2006)。首都パリ。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*2:【Spain・西班牙】南ヨーロッパ、イベリア半島の大部分を占める立憲君主国。15世紀末に統一王国が成立して栄え、長らく広大な植民地をもった。日本との修交は安土桃山時代にさかのぼる。1936~39年の内戦以後75年までフランコ独裁政権。75年にフアン-カルロス1世が即位、王制に復し、その後民主化が進む。面積50万6000平方キロメートル。人口4681万6千(2011)。首都マドリード。イスパニア。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*3:【Pyrénées(フランス)】フランスとスペインとの国境をなす山脈。長さ約400キロメートル、主峰はアネト山(標高3404メートル)。ペルデュ山は世界遺産。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*4:【snowboard】サーフィンのように横向きに乗り、ストックを使わずに雪上を滑り降りる幅広の滑走板。また、それを用いた競技。スノボ。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*5:(「雪崩」と書く)斜面の積雪が大量に、急激に崩れ落ちる現象。表層雪崩と全層雪崩がある。〈春 〉/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*6:国土の利用・開発・保全、社会資本整備、交通政策等を所掌する中央行政機関。2001年運輸省・建設省等を統合して設置。国交省。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*7:【data】立論・計算の基礎となる、既知のあるいは認容された事実・数値。資料。与件。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*8:【data】立論・計算の基礎となる、既知のあるいは認容された事実・数値。資料。与件。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*9:【let's go】「さあ行こう」の意のかけ声。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*10:【馬鹿に付ける薬はない】ばかを治す方法はない。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)