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雨は天からの恵み!竹と土だけで貯水槽が出来上がる?

手作りの貯水槽

われわれの生活に水が不可欠なのは万人周知の事実だ。例えば飲料・お風呂・炊事・洗濯・洗面・手荒い・歯磨きなどありとあらゆる用途がある。しかし、水道が整備されておらず、自然を有効活用する厳しい環境下では果たしてどのように対処しているのだろうか。

半分に割れた竹から貯水槽を作る

木の枝をコンパス*1代わりにして器用に 地面に円を描く男性。続いて、その円に沿ってくぼみを掘り、半円に割られた青竹を城壁のように何本も入れて取り囲む。まるで時代劇に出てくる五右衛門風呂*2のような外観だ。そして、青竹の表側と裏側を粘土で塗り固めると、いよいよ貯水槽としての見た目になってくる。

貯水槽の作業が一段落するとわらぶき屋根に近づき、わらの先っぽを切り落とし、その先端の直下に半分に割られた3本の竹を階段状にして並べる。まるで流しそうめんのように竹に高低差をつけることで、わらぶき屋根から滴り落ちてくる雨水をお手製の貯水槽に流し込む仕掛けだ。水道のない環境では雨水も生活用水として重宝する。天から恵まれた水を有効活用するための知恵と工夫である。

段差をつけた竹を伝って水が流れ落ちるのを確認し、生活に必須の水を蓄えられる簡易装置の出来上がりだ。ちなみに、男性が水をくむために使用している竹筒が妙におしゃれなので、洗面器の代替としていいかもしれない。

アフリカの農地では今でも水が死活問題

野原にぽつりと設置されている蛇口

現代の日本*3では水不足による一時的な節水や断水があるものの、基本的には当たり前のように水を使用できる。しかし、世界にはまだまだ日々の生活用水や農業用水を手に入れるため、川や池までくみ上げに行かなければならない地域が多数存在している。ワールドカップ*4サッカーで我が国と熱戦を繰り広げたセネガル*5のポルトゥ村も引き水設備がないため、住民は農作業用の水を池や川からの運搬を強いられていた。

そこで、村の住民の生活や農作業をより便利にするために、日本のヤマハ発動機やイスラエル*6のネタフィム社が中心となり、ポルトゥ村に土壌表面や根群域に直接ゆっくりかんがいを与えることにより、水や肥料の消費量を最小限にする引き水方式である「点滴かんがい」を導入した。あまり報道されていないが、このように近年一部の日本企業が自社のネットワーク*7や技術を生かし、アフリカ*8や東南アジア*9などの地域で住民の生活支援を行っている。

水はわれわれの生活に密接な関わりを持つと再認識させられると同時に、利水環境の改善によって生活が快適になると痛感させられた次第だ。地球環境保全の意識を高揚させるため、家族で一定時間上下水道を使用せずに生活するのも意義深いかもしれない。

石油戦争の次に勃発するのが水戦争。あながち間違いではなさそうだ。

(出典:YouTube

*1:【kompas(オランダ)】一方の脚に針、他方に筆記具をつけた、主として円を描くのに用いる製図用の器具。ぶんまわし。円規。両脚規。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*2:(石川五右衛門が釜ゆでの刑に処せられた時に用いたという俗説に基づく)槽(おけ)の底に平釜を取りつけ、かまどに据えつけて、下で薪をたいて沸かす据風呂(すえふろ)。底板は水面に浮かび、入浴のときはこれを踏んで下に沈め、その上にのってはいる。全部鉄釜としたものもある。かま風呂。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*3:日本列島(北海道・本州・四国・九州および付属島嶼)および伊豆諸島・小笠原諸島・南西諸島から成る国家。神武天皇建国の地とする大和(やまと)を国号とし、「やまと」「おほやまと」といい、古く中国では「倭」と呼んだ。中国と修交した大化改新頃、東方すなわち日の本の意から「日本」と書いて「やまと」とよみ、奈良時代以降、ニホン・ニッポンと音読するようになった。現在も、よみ方について法的な根拠はないが、本辞典においては、特にニッポンとよみならわしている場合以外はニホンとよませることにした。4世紀に統一国家が成立し、それ以後、古墳・奈良・平安各時代を経て、鎌倉幕府の創立となり、政権は公家を離れて武家に移り、室町幕府に引き継がれる。ついで織田・豊臣(安土桃山)政権が生まれ、さらに江戸幕府265年間を経て明治維新により武家政権が終わり、やがて立憲君主国となる。琉球処分により沖縄県を設置、日清・日露戦争と第一次大戦により台湾・樺太を領有、朝鮮を併合、南洋群島を統治して全領土は約67万平方キロメートルに達したが、太平洋戦争に敗れ明治以降の新領土のすべてを喪失、ほぼ江戸末期の原形に復した。面積37万7800平方キロメートル、南北に長く山地が多い。人口1億2709万(2015)。首都は東京。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*4:【World Cup】サッカー・ラグビー・スキー・バレーボールなど、各種スポーツの国際選手権大会。また、その優勝杯。1930年に国際サッカー連盟が主催したサッカー第1回大会が最も古い。W杯。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*5:【Senegal】アフリカ西端の共和国。もとフランス領西アフリカの一部。1960年独立。面積19万6700平方キロメートル。人口1287万4千(2013)。首都ダカール。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*6:【Israel】(ヘブライ語で「神が支配する」の意)シオニズム運動の結果パレスチナに流入したユダヤ人が1948年イギリスの委任統治終了とともに建設した共和国。この国家の存在とパレスチナ国家建設が、中東紛争の中で焦点となってきた。首都はエルサレム(国際的には未承認)。公用語はヘブライ語とアラビア語。面積2万2000平方キロメートル。人口741万2千(2008)。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*7:【network】(網細工・網状組織の意。ネットと略)多くの人や組織の幅広いつながり。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*8:【Africa・阿弗利加】(ローマ人がカルタゴ隣接地方を呼んだ語。のち南方の大陸全土を指した)六大州の一つ。ヨーロッパの南方に位置する大陸。かつて暗黒大陸といわれ、ヨーロッパ列強の植民地であったが、第二次大戦後急速に独立国が生まれ、その数は周辺の島嶼国も含めて約55。イスラム世界の北アフリカとサハラ以南アフリカとに大別される。面積3031万平方キロメートル。人口11億9千万(2015)。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*9:アジアの東南部。ベトナム・ラオス・カンボジア・タイ・ミャンマー(ビルマ)・フィリピン・ブルネイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・東ティモールを含む。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)