タイ社会でうまくやっていく四つのヒントとタイ人の国民性
私はタイで勤務をした3年間で、さまざまなタイプのタイ人と接する機会があった。タイ人を正しく把握することで、タイ社会との正しい関わり方も見えてくるはずだ。主立ったタイ人の性格や気質を一つ一つ見ていこう。
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2017年10月24日:用字用語の整理。
タイ人の性格や気質について
大陸的*1と形容されることがあるが、タイ人をよく捕らえている言葉だ。
ここではタイ人の国民性を一般的に述べていく。その一方で「十人十色」という言葉を覚えておいてほしい。
タイ人の屈託のない笑顔は何種類?
タイは「ほほ笑みの国」と言われているように、世にもすてきな笑顔だ。二六時中「笑顔を絶やさない」。ただ、この「いつも笑っている」ことが本心を包み隠していることもあるのだ。
あなたはご存じだろうか。タイは大東亜戦争のときに、日本と軍事同盟を締結したにもかかわらず、終戦後は戦勝国に仲間入りしていることを。つまり、交渉上手な一面があるのだ。
現在、タイは鉄道の敷設を進めているが八方美人である。交渉のテーブルで日本と握手をしているかと思えば、そのテーブルの下では中国とも握手をしているのだ。より自国に有利な条件を引き出そうとする政治的交渉術は、日本も見習うべきだ。
「怒る」行為は恥とされている
タイの仏典*2に「怒りは恥ずべきこと」がある。だから、日本でよく見かけるクレーマーのように、常習的に苦情を言う行為はほとんどない。また、これは「タイ人は怒られるのが苦手」な気質をお互いが理解していることに帰因するのだろう。
そして、タイ人は謝罪が苦手だ。むしろ、謝らないと言い切っても過言ではない。これもまた、相手が謝罪する気がないので、不満や不快な気持ちを伝えても徒労に終わることを潜在で意識しているのだろう。
タイ人はプライドが高い
タイ人は非常にプライドが高いため、他人の前で怒られることがひどく苦手だ。皆の前で叱責(しっせき)されたタイ人が次の日から来なかったり、芋づるを手繰るように部下もろともいなくなったりは当たり前にあるのだ。
反対にタイ人は自分が激高しても、明くる日は全て忘却のかなた、けろりとしていることが日常茶飯事である。
タイ人のマイペンライ(問題ない)精神
タイでは厄介なことが起きても「マイペンライ(問題ない)」で片付けてしまう傾向がある。甚大な問題でも、この「魔法のひとこと」で収束してしまうことがあるのだ。
タイ人は時間を守らない
正確には時間を守らないのではなく、ものすごい交通渋滞なので予測し難い。また、BTS(高架鉄道)も大雨が原因で立ち往生することがしょっちゅうあり、「守れない事情がある」と換言できるかもしれない。だから、タイ人は遅刻しても非難することをしない。
タイ人は人間としての尊厳を大切にする
タイ社会ではニューハーフ*3やゲイ*4も日本のように自分をひた隠しにすることなく、普通に生活をしている。
タイ人は人間としての尊厳を大切にしているので、元男性や同性愛者を白い目で見るようなことはなく、会社などでも一人の人間として分け隔てなく接している。
タイ社会との関わり方と考え方
タイ人の性質を深く知ることで、日本とは異なる対応を学べるはずだ。日本の常識と非常識をそのまま持ち込まず、タイの空気に溶け込んでいくことが大事だろう。
タイ人は笑顔でも全てを同意していない
前述の通り、タイ人はどのような状況においても笑顔を絶やさない傾向にある。注意すべきは笑顔と了承をイコールで結ぶことができなことだ。
だから、タイ人が笑顔でうなずいているときにも内容の再確認を忘れてはいけない。そして、笑顔にごまかされず自分の意向はしっかりと伝達しよう。
人前において名指しで叱責(しっせき)するのは避けよう
仮に叱らなくてはならない場面でも、人前ではなく個別に呼び出して諭すのが良い。タイ人はよほどのことがないと謝罪をしないが、自省の念は持っているので、責め立てないようにしよう。日本での「叱咤(しった)激励」はタイでは通用しないのだ。
タイではクレーマーのように執拗(しつよう)に抗議を繰り返しても解決をしないことが多い。自己嫌悪に陥るだけで、三文の価値もないから、ほどほどにしよう。
日頃、怒りを表出しないタイ人が激怒したときは短絡的思考になり、取り返しがつかない事態に発展する可能性もはらんでいるので、十二分に注意が必要だ。
日本での「あうんの呼吸」は通じない
タイでは日本のように「言わないけれども、分かってほしい」は通用しない。やってほしいことは具体的に説明をして、依頼をするようにしよう。その際、客観的かつ具体的に説明しないと話が擦れ違ってしまう。
タイ社会では人を冒涜(ぼうとく)してはいけない
タイ社会では敬虔(けいけん)な仏教徒も多いことから、人を敬い、慎むことを大切にしている傾向がある。これらを冒涜(ぼうとく)するような振る舞いはすべきではない。
また、タイ人は日本とは比べ物にならないほど親のことを大切にしている。だから、親を侮辱する行為は慎むべきだ。あの温厚なタイ人が態度を一変させるかもしれない。
まとめ
タイ人の性質を掘り下げていくことで、タイ社会との関わり方がおのずと浮き彫りになったのではないだろうか。
どこの国の人間であろうと、心が通じ合い信頼し合えれば、良き伴侶になることができるはずだ。タイだけに「万国共通の真理」といったところだろうか。
待ち合わせに遅れたあの人に対し、たまにはタイ風にこう言ってみるのもいいかもしれない。「問題ない。今、来たところだよ」
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