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2018年の新人王は誰だ?キャンプ序盤での大胆予想を敢行!

グローブに収まるボール

プロ野球の各チームがキャンプインし、ついに球春が到来した。特に若手選手にとっては一軍定着を目指した熾烈(しれつ)な戦いが始まる。その戦いを制してレギュラーを奪い、新人王に名乗りを上げると思われる前途有望な若手たちを予想してみたい。

「セ・リーグ」2年目の選手が有力か?

セ・リーグ*1は横浜DeNAベイスターズ・東克樹投手や中日ドラゴンズ・鈴木博志投手が即戦力として評価が高い。キャンプ*2序盤の段階ではあるが、阪神タイガースのドラフト2位高橋遥人投手も力強い球を投げ込み頭角を現しつつある。そして、見落としてはいけないのが、新人王資格を残している「2年目の選手」に逸材がそろっていることだ。

広島カープの2年目バッテリーが頭一つ抜けている!

セ・リーグの他球団としては頭が痛いに違いない。なぜならば、2年連続優勝を果たした広島に生きのいいのいるからだ。投手王国を盤石なものに進化させそうだ。さらに、二番手キャッチャー*3の石原慶幸捕手に若干の衰えが見えるため、その穴埋めとしての若手の急成長は常勝に欠かせない。

高橋昂也投手(広島)

育成に定評のある広島の若手が大活躍の予感だ。投手では昨年ドラフト2位の高橋投手。花咲徳栄高校時代から最大152キロの左腕は注目されていたが、昨年の前半戦は腰痛に見舞われ、体作りに専念した。後半より二軍で実戦登板して2勝0敗、防御率1.29の成績を残した。

武器は球質の重いストレート*4。スライダー*5、フォークボール*6などの変化球にも切れがある。直球で勝負できる本格派ピッチャー*7でありながら、牽制やフィールディング*8にも非凡な才能を持つ。2月11日の紅白戦でも3回無失点と早速結果を残している。左腕が不足しているチーム事情もあって、まずは中継ぎからとの声もあるが、先発ローテーション*9入りも夢ではない。そして、実力を遺憾無く発揮できれば、勝ち星を重ねる可能性を十二分に秘めている。

板倉将吾捕手(広島)

同じく広島の2年目、板倉捕手も才能豊かな逸材だ。昨季は高卒新人ながら二軍で99試合に出場。ウエスタン・リーグ*10打率2位の好成績を残した。打撃だけなら前田智徳氏に匹敵するとの評価もある。ちなみに、辛口の批評で有名な元中日監督の落合博満氏が「天才」と評したのが前田氏である。

守備に関しては高卒新人でありながら二軍の投手陣に順応し、リード*11してきたことに能力の高さを感じさせる。今後は一軍のピッチャーの性格や決め球など把握していきながら、自身の捕手としての技術も向上させていくことになる。さらに、他チームの打者の情報も頭に入れなければならない。

好敵手には昨季一軍最多の106試合に出場した會澤翼捕手、ベテラン*12の石原捕手が立ちはだかる。前途多難な道のりだろうが、野球日本代表の稲葉篤紀監督が野球界を背負っていく選手と太鼓判を押した有望株。まずは控え捕手に風穴を開け、一軍での出場機会を増やしたいところだ。

吉川尚輝内野手(巨人)

1年目はけがに苦しみ、一軍で力を発揮することはできなかったが、首脳陣からも空席であるセカンド*13のレギュラー*14に期待されている。

昨季は同世代の京田陽太内野手(中日)、源田壮亮内野手(西武)が新人王を獲得した。ドラフト*15指名の際には2人よりも実力が評価されていただけに、吉川内野手からすれば心中穏やかではないはずだ。

雪辱を期す今季は坂本勇人内野手と自主トレを行い、助言や指導を受けて技術を磨いてきた。走塁や守備は二軍では抜きん出ており、打撃も紅白戦初戦でいきなり3安打と結果を出している。

1年目は体力面での不安があったが、馬力の付いた夏場以降は二軍ではぐんと目立つ存在となっていた。オープン戦*16で結果を残せさえできれば、開幕のスターティングメンバー*17から一気に新人王を射程距離内に入れられる選手だ。

「パ・リーグ」社会人・大学出身の即戦力が有望か?

パ・リーグはやはり日本ハムファイターズの清宮幸太郎内野手が注目の的であろう。育成に定評のある栗山英樹監督の下、出場機会も与えられそうだが、1年目はプロの水に慣れることで精一杯と見る。

オリックス・バファローズの田嶋大樹投手の実力は既に一軍の水準にあり、先発ローテーション入りが確実だ。1年間けが無く投げきれば、最も新人王に近い存在だろう。

東北楽天ゴールデンイーグルス・岩見雅紀外野手は長打力が魅力だ。しかし、守備に不安があり、DH*18で起用したいところだがカルロス・ペゲーロ外野手が控えている。併用もしくは外野の一角を奪取できるかが生命線となりそうだ。それ以外には選手層の厚い福岡ソフトバンクホークスに能力のある若手選手がそろっている。

最有力は150キロ本格派左腕!

左打者にも強打者が多いプロ野球において、左腕投手で150キロ以上投げられること自体が大きな利点である。また、過去に高校生ながらプロに通用すると呼び声が高かったにもかかわらず、「体力不足」を理由に社会人野球に進んだ経緯がある。思い上がること無く、自らの弱点をしっかり分析し、改善に努められる冷静沈着さも持っている。時の名投手たちは殊に野球に関して「臆病者」であることにも接点がある。

田嶋大樹投手(オリックス)

やはり新人王の大本命はこの投手であろう。スリークオーター*19から繰り出す150キロのストレートと切れ味鋭いスライダーも良質だ。182センチの身長でありながら斜めから振り下ろす投球フォーム*20で、長い腕が遅れて出てくるため、タイミングが取りづらく角度もある。さらに、抜けたようなスライダーが低めに制球されれば、左打者だけでなく右打者もてこずるはずだ。

佐野日大高校時代からドラフト上位候補であったが、社会人野球でも順調に成長。プロでも即先発ローテーション入りは確実で、二桁勝利を挙げてもおかしくない実力者だ。不安は1年間通して投げられる持久力だろう。

古谷優人投手(ソフトバンク)

一昨年ドラフト2位古谷投手は高卒1年目から実力が認められた左腕だ。1年目は血行障害からのリハビリテーション*21もあって出遅れたが、二軍で着実に力を付けてきた。その名を知らしめたのは昨年のクライマックスシリーズ*22前の紅白戦だ。あくまで紅白戦要員としての登板であったが、アルフレド・デスパイネ外野手、上林誠知外野手といった主力から3奪三振を奪う無安打投球。勢いのあるストレートを軸に圧巻の投球を披露した。

工藤公康監督も今後に期待し、変化球の引き出しをもう一つ増やすよう注文を付けた。それを受けて古谷投手もフォークボールを習得中であり、ものにできれば一皮むけるはずだ。他チームなら十分一軍の戦力だが、そこは12球団随一の選手層を誇るソフトバンク。少ない好機を生かして一軍に生き残れるかが壁となる。

安田尚憲内野手(ロッテ)

新人王の大穴として挙げておきたいのは安田内野手だ。1年目からの活躍が難しい高卒新人の中で、才能が開花するとすればこの選手かもしれない。日本ハムの清宮内野手らが参加した高校日本代表において、芯が狭い木製バットの対応に選手たちが苦労するさなか、変わらぬスイング*23で大会打率3割2分4厘を残した。

プロへの第1関門ともいえる木製バットへは対応済みである。加えて、安定したサード*24の守備力も出場機会を得るには好材料となるはずだ。

肝心の打撃に関しては、これまで数知れぬ高卒選手がプロの投球への適応に四苦八苦してきた。どれだけ打席に立てるかが重要となるが、井口資仁監督も紅白戦から4番サードで先発出場させており、場数を踏ませようする配慮と期待がうかがわれる。早い段階で適応できるようなら、実力は清宮内野手と立ち並ぶ偉材だ。1年目からの活躍を期待したい。

まとめ

今季の新人王は両リーグともに2年目の選手が絡んできそうな予感がする。特に広島やソフトバンクには末頼もしい選手がそろっている。チームの育成の充実ぶりを物語っており、今後も堅固の構えは揺るぎなさそうだ。

一方、高卒新人にも力量のある選手がたくさんいる。清宮内野手を筆頭に、安田内野手や広島の中村奨成捕手らがどのような1年目を過ごすかも目が離せそうにない。

いずれにせよ、若手選手の台頭はプロ野球の盛り上がりには欠かせない。どのチームに彗星のごとき新人が誕生するのか。公式戦の行方とともに、開幕を待ちわびたい。

そして、予想が物の見事に外れてしまったら、煙幕を張り逃げたい。

*1:【Central League】日本のプロ野球リーグの一つで、6球団が所属。1949年結成。正式にはセントラル野球連盟。略称セ‐リーグ。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*2:【camp】スポーツ選手などの練習のための合宿。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*3:【catcher】野球で、本塁の後方にいて、投手の投球を受け、また本塁の守備に当たる人。捕手。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*4:【straight】野球で、カーブなどの変化球に対して直球。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*5:【slider】野球で、投手の投球の一種。投げた腕と逆の側にすべるように水平に曲がる変化球。カーブと違ってあまり落ちない。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*6:【fork ball】(球を挟む指の形がフォークに似るからいう)野球で、投手の投球の一種。人差指と中指との間にボールを挟んで投げる。回転がほとんどなく、打者の手もとで鋭く落ちる。

*7:【pitcher】野球で、打者にボールを投げる人。投手。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*8:【fielding】野球などで、守備または守備法のこと。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*9:【rotation】(回転・循環の意)野球で、先発投手の順番を決めて起用すること。また、その順序。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*10:【rotation】(回転・循環の意)野球で、先発投手の順番を決めて起用すること。また、その順序。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*11:【lead】指導。先導。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*12:【veteran(イギリス)・vétéran(フランス)】その方面について経験豊富な人。老練な人。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*13:【second】(セカンド‐ベースの略)野球で、二塁。また、二塁手。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*14:【regular】〔レギュラー-メンバーの略〕常に出場する選手。正選手。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*15:【draft】プロ野球で,新人選手に対する入団交渉権を,全球団で構成する選択会議で決めること。過当競争を避けるためのもの。また,その会議で選ばれて指名されること。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*16:【オープン戦】プロ野球などで,公式戦の開幕前に調整のため行う非公式試合。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*17:【starting member】試合開始時の出場選手。先発メンバー。スタ‐メン。スターティング‐ライン‐アップ。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*18:(designated hitter)野球で、投手の代りに指名される、守備にはつかない打撃専門の選手。プロ野球ではパシフィック‐リーグが1975年から採用。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*19:【three-quarter】(4分の3の意)野球で、斜め上手から投球すること。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*20:【form】運動の動きや姿勢の型。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*21:【rehabilitation】障害や後遺症を持つ人に対して、医学的・心理学的な指導や機能訓練を施し、各種の代償手段も併用して社会参加をはかること。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*22:【Climax Series】プロ野球で、日本シリーズへの出場権を争う短期間の試合。ペナント‐レースの上位3チームで行う。2007年開始。CS。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*23:【swing】野球でバットを、ゴルフでクラブを振ること。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*24:【third】(サードベースの略)野球で、三塁。また、三塁手。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)