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あまり有名ではないが、安くておいしいタイ料理4品を特選

お皿に盛られたカオクルックガピ

旅行記や観光情報ではなかなか紹介されないタイ料理も数多くある。いつも一辺倒な注文ばかりでは飽きがきてしまうはずだ。タイ通としてはおいしいタイ料理の「引き出し」はいくらあっても邪魔にはならない。ぜひとも堪能してもらいたい4品をご紹介したい。

マイナータイ料理の第2弾記事もお薦め
タイ料理の隠れた逸品!知る人ぞ知る美味3品をよりすぐり

2018年4月3日:リンクの追加。

外れの少ないタイ料理

中央に突き刺さるダーツ

われわれ日本人も連日寿司やてんぷらを食べていないのと同様に、タイ人もトムヤムクンやガパオライスばかりではない。では、タイ料理には他にどのような献立があるのだろうか。

表題には「あまり有名ではない」としているが、あくまで一般的な日本人にとってである。従って、どこで注文しても恥ずかしくないれっきとしたタイ料理である。

パットクルアンゲーン(ผัดเครื่องแกง)

お皿に盛られたパットクルアンゲーン

ゲーン(แกง)はタイ語で「カレーペースト*1」である。これを油で炒めた後、ココナツミルク*2で溶けば「タイカレー」ができあがる。

ただし、ココナツミルクを使わずに具材とともに炒めると「バットクルアンゲーン」になる。通常はそれ専用のペーストがあるが、レストランにてグリーンカレー(แกงเขียวหวาน)のペースト、イエローカレー(แกงกะหรี่)ペーストで作ってもらうことも可能である。中に入れる具材を鳥(ไก่)、豚(หมู)、エビ(กุ้ง)、全部入れ(ใส่ในทั้งหมด)などを指定してお好みの組み合わせにすることができる。

トムカーガイ(ต้มข่าไก่)

スープ皿に入れられたトムカーガイ

タイのスープといえば「トムヤムクン(ต้มยำกุ้ง)」を思い浮かべる方も多いはずだ。しかし、このトムカーガイも侮りがたい美味なタイ料理である。ココナツミルクを使った鶏肉のスープで、芳香ショウガとも称される南国のショウガを利かせている。

ココナツミルクを基礎としているにもかかわらず、独特の癖をあまり感じない。また、タイ料理にしては珍しく辛くないので、胃が悲鳴を上げているときや辛いのが苦手な方でもお試しいただけるはずだ。

カオクルックガピ(ข้าวคลุกกะปิ)

お皿に盛られたカオクルックガピと野菜

タイ人の料理に対するこだわりと美的感覚を知ることができる逸品である。ガピと呼ばれる小エビペーストで炒めたご飯を中心に盛り、その周りに様々な具材を並べる。

その中には紫タマネギ、照り焼きのような味付けがされた鶏肉炒め、さやえんどう、唐辛子、卵焼きなどがある。食べる際には全ての具材を混ぜて食べるのだが、盛り付けが美麗で料理が運ばれてきたときに思わず見入ってしまうほど。タイ人も「料理を視覚でも楽しむ」ということを教えてくれるすてきな一品である。

ゲーンソム(แกงส้ม)

スープ皿に入れられたタイのオレンジカレー

タイ料理のカレーで有名なのはグリーンカレー(แกงเขียวหวาน)ではないだろうか。しかし、タイ語で「オレンジカレー」を意味する「ゲーンソム」も忘れてはいけない。

タイカレーの一種だが、主に南部地方の郷土料理として紹介されることが多い。実際はタイ全土で家庭料理として食されており、食べやすい一品として挙げられている。

ゲーンソムは酸味があるカレーペーストを用いてスープを作り、その中に魚を中心に煮込むことで作られる。酸味を際立たせるためにパイナップル*3(สับปะรด)を入れたり、食感のためにタケノコ*4(หน่อไม้)を追加したりするなど、モンスーン*5を感じさせるような東南アジアらしさが光る一品である。

まとめ

大量のタイの唐辛子

「あまり有名ではないタイ料理」としてご紹介したが、観光客に知られていないだけで現地のタイ人にとっては日常的な料理であるに違いない。

しかし、そんなタイ料理の中にこそ、タイの考え方や文化が見え隠れする瞬間がある気がする。タイは熱帯気候*6や亜熱帯気候*7に区分されている。そのため、農業には適しており、食糧自給率が高い。タイの食材を使った料理が豊富なゆえんであろう。

また、国土が日本の1・4倍と広大なため、各地方によって好みの味が異なる。しかし、昨今のインターネットの普及や物流事情の近代化などの影響により、地方特有の料理だったものが、タイ全土に一気に流伝することもある。そして、その土地土地で独自に改良され、庶民の胃袋を満たしている。

タイを訪れる際にはガイドブック*8に載らないタイ料理にも挑戦してみるとよいだろう。仮に口に合わなかったとしても、きっとタイ旅行を彩る思い出の一ページとなっているに違いない。

料理が味を変えるのは宿命だ。しかし、タイ人の「優しさ」はいつまでも外れのない魅力であり続けてほしいものだ。

*1:【paste】肉や野菜などを煮てすりつぶし,練った食品。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*2:【coconut milk】ココヤシの種子の胚乳。デザートや,料理の調味料として用いる。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:【pineapple】パイナップル科の常緑多年草。熱帯アメリカ原産。葉は剣形で短幹に密生し,短幹頂部につく果実は長さ20センチメートル 内外の松かさ状の集合果で,橙黄色に熟す。果肉は多汁で香気高く,主に生食・缶詰とする。熱帯・亜熱帯で栽培。アナナス。夏。〔「鳳梨」とも書く〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*4:竹の地下茎から生じた若芽。モウソウチク・マダケ・ハチクのものが多く食用とされる。たかんな。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*5:【monsoon】夏季の南西風がもたらす,南アジア・東南アジアの雨季。また,その雨。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*6:熱帯に特有な気候。年間を通じて高温で,気温差が少ない。年間雨量は赤道直下では多いが,亜熱帯寄りの地方では,乾季と雨季とに分かれる。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*7:熱帯的な高温の夏と,比較的穏和な冬をもつ気候。亜熱帯にみられる。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*8:【guidebook】旅行用の案内書。観光案内書。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)