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タイ旅行の醍醐味(だいごみ)?長距離バスでの遠方移動!

横を向いた金色の竜

タイでは深夜長距離バスを利用した旅行が一般的である。格安航空会社(LCC)が隆盛に向かっている昨今でもバス業界はいまだ大きな需要を抱えている。旅客から支持されている理由はなんだろうか。また、どのように移動が行われているのかに注目してみたい。

なぜ長距離バスが一般的なのか?

バンコクの幹線道路で起きる交通渋滞

タイではバンコク*1への一極集中の問題が度々取り沙汰されるが、いまだ解消されていない。他県から教育や仕事のために上京する人が多くいる。

鉄道は敷設されているが、先進国の水準までは発達していないため、利便性が高くない。従って、長距離移動をする際はバスを利用するのが一般的になったのだ。バンコクからはタイのほぼ全県に向けたバスが運行されている。

タイ国内の長距離バスは快適?

車両はスウェーデン*2のSCANIA(スカニア)社製が多数採用されており、下の等級から2等車両、1等車両、VIP*3車両などが編成されている。

2等長距離バス

2等は電車でいうところの普通列車のようなもので、小さなバス停に停車する。また、場合によっては乗客の希望の場所にどこでも停めてくれるので、長距離移動には不向きである。

1等・VIP長距離バス

1等とVIPは指定の目的地まで停車することはなく走り続ける急行・特急列車のような位置付けとなってくる。1等とVIPの違いはVIPは座席の幅が広く、ゆったりと座れるように設計されている。座席の配置も通常は3列が2列と1列に分かれ、中央に通路がある「2-1」型式の設計になっている。一方、1等の座席は4列が2列と2列に分かれ、中央に通路がある「2-2」型式が多い。

長距離バスの乗り方

バンコク・アソーク付近を走行する夜行バス

長距離バスは指定のバスターミナル*4から出発しているため、始発地点までは自身で移動する必要がある。その際はバンコクの交通渋滞をしっかり加味し、余裕を持って移動することを心掛けてもらいたい。

行き先とバスターミナルの名前

  1. タイ北部・タイ東北部行き:モーチットマイ(มอชิตใหม่)
  2. 南部行き:サーイタイ(สายใต้)
  3. 東部方面:エカマイ(เอกมัย)

また、各出発バスターミナルが異なるため、タクシーで移動するなら注意が必要だ。

バスターミナルの発券窓口の場所

  1. モーチットマイ:2階
  2. サーイタイ:2階
  3. エカマイ:1階

バスターミナルに到着すれば、モーチットマイとサーイタイは2階、エカマイは1階の発券窓口でチケットを購入する必要がある。あらかたの発券窓口がタイ語のみの対応となる上に、販売手数料を目当てにした呼び込みが大勢いるので気を付けよう。VIP車両の乗車券のつもりが2等車両を買わされ、とんでもない辛抱旅行を強いられたなんて話もよく耳にするからだ。

発券窓口で確認すべき項目

  1. 行き先
  2. 出発時間
  3. 車両の等級
  4. トイレの有無

乗車券を購入したら、1階のバス停留所から指定のバスに乗り込み、出発となる。

タイ高速バスの出発

乗り込んだのが1等車両かVIP車両ならば、制服を着た客室乗務員がおしぼり、毛布、飲料水を配ってくれる。前述したが座席は広々としており、長時間の旅行にも十分耐えられる水準のはずだ。

また、タイでは冷房を極端に利かせることが最高のおもてなしとされており、度を超した冷風にさらされることになる。防寒対策を準備せずに乗車すれば、配られた毛布に包まりながら過ごす羽目に陥るだろう。

タイ高速バスにおける独特のサービス

夜行便の高速バスの場合、平均して現地の深夜0時ごろに夜食が提供される。大概は現在地の車内放送などはなく、見たこともないようなサービスエリア*5に停車する。そして、車内の電気が一斉に点灯し、乗務員によって強制的に起こされて食事となる。

場所によって無料の献立は変わるものの、おかゆや麺料理などが提供されることが多い。実はバスの乗車券を持っていると食事の代わりに飲み物やパンに交換できる場合がある。しかし、そんなことはつゆ知らず、降車させられることがほとんどだろう。見ず知らずのタイ人とともに同じ円卓を囲み、寝ぼけ眼で食事をしているかもしれない。現地に精通している利用者にとっては慣れっこかもしれないが、海外旅行者にとっては「不親切」と言わざるを得ない。

ただし、目的地が近づけば、乗降場所の指定に応じてもらえる。さすがに進路を大きく迂回(うかい)したような道は無理だろうが、近郊であれば目的地の前で降ろしてもらえるのが、なんともタイらしい「自由さ」が際立つ魅力でもある。そのため、住宅街へ進路を変えたり、舗装されていない農道に進入したりした場合も慌てふためかないようにしよう。その先で乗降する客がいるはずだ。

まとめ

ペッチャブーン県の山に続く道

タイの自由な雰囲気、異国情緒を間近に堪能したいのであれば長距離バスに乗っての旅も素晴らしい。できるだけ肯定的に捉えるならば、食事も付いており、快適な空間でタイの風景を眺めながら楽しめる移動手段ではないだろうか。

しかし、バスターミナルへの移動から始まり、遭遇するであろう「現地ならではの出来事」の数々に少々面食らってしまうかもしれない。だから、日本への帰国が切迫していたり、商談の待ち合わせなどの時間的制約が強い場合には回避するのが賢明だ。いずれにせよ、やや上級者向けのタイ旅行になるのは間違いない。

あれやこれやと述べてきたが、タイの山岳地帯を長距離バスで移動中に嘔吐(おうと)してしまったのは内緒である。

*1:【Bangkok】タイ王国の首都。チャオプラヤ川河口から20キロメートル 上流に位置する河港都市。華僑が多く,米・チーク材などを輸出。宮殿や古寺院が多い。バンコック。〔「盤谷」とも当てた〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*2:【Sweden】北ヨーロッパ,スカンディナビア半島の東半分を占める立憲君主国。パルプ・製紙・鉄鋼・自動車・船舶・機械などの工業が発達,社会福祉制度も完備。武装中立を堅持。1523年デンマークから独立,1814年ノルウェーを併合したが,1905年同国は分離・独立。住民はゲルマン系でプロテスタントがほとんど。首都ストックホルム。面積45万平方キロメートル。人口940万。スエーデン。正称,スウェーデン王国。〔「瑞典」とも当てた〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*3:〔very important person〕最重要人物。政府要人・国賓・皇族など,特別待遇を要する人。ブイ-アイ-ピー。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*4:【bus terminal】バスの総合発着所。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*5:【service area】 高速道路で,給油・食事・手洗いなどの設備のある休憩所。/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)