人生は旅だ

よもやま話に花が咲く

ひねりが利いた演出によって運ばれたケーキとは?

ひもにつるされたスマートフォンを引っ張る赤ちゃん

いつの時代でも人間は食べ物に情熱を注ぎ、おいしく食べるために創意工夫を重ねてきた。現代でも料理番組やレシピサイトが人気なのもうなずける。しかし、いまだかつて配膳にここまでこだわった人間がいただろうか。

ケーキが運ばれるまでのきてれつな演出

この動画の主人公は口ひげ蓄えたジョセフ氏。一見して地味な風袋の男性だが、遊び心を十二分に持っているのだ。だから、目先のケーキに手を伸ばし、簡単に取りはしないのだ。

フライ返し*1にジュース*2の入ったコップ*3を置いたのを皮切りに、これでもかとばかりに仕掛けの数々が披露される。てこの原理やらインターネット*4やらを駆使するだけでなく、はいはいする赤ちゃんまで登場している。

こだわりの深さを痛感させられた一方で、ノート型パソコン*5や植木鉢がたやすく壊されてしまう一幕には少しばかり違和感を覚えた。無論目くじらを立てるほどのことではない。なぜなら、芸術の領域に入り込んだのなら既成概念を打破してこそ、生まれる世界観もあると思うからだ。しかし、印象的な演出だけを追い求めるのは危険である。「ものを大事にする」は「心を大切にする」にもどこかでつながっていることを覚えておきたい。

閑話休題。どでかくてとても健康的とは思えないケーキ。これがジョセフ氏の口元に運ばれるまでに、えらく遠回りしてきたものだ。練りに練られた仕掛けは見ていて楽しいが、ジョセフ氏の無表情も手伝ってか、どこか爽快感に欠けていたのも事実だ。

最後は鉄道玩具の機関車トーマスによって赤ちゃんのところへ運ばれたケーキに、真っ赤なサクランボ*6がぽとりと載せられる仕掛けだ。この父親の優しい計らいに思わず口角が上がってしまったが、赤ちゃんは間髪を入れずにぽいっと捨ててしまった。

てこの原理から広がる発想

斜め前方から見た黒色のホッチキス

この動画では随所に「てこの原理」が利用されている。われわれの日常生活でも至る所で用いられ、くぎ抜きやホッチキス*7などはその代表である。 

てこの原理を発明したのは古代ギリシャ*8の数学者アルキメデス*9だが、現代で生活道具や遊びにと大活躍しているのを知れば、満足したに違いない。しかし、彼が誕生する約2500年前にピラミッド*10が建造されている。つまり、はるか昔から人類はてこの原理を利用していた可能性もあるから驚きだ。

てこの原理で習う「支点*11」「力点*12」「作用点*13」と作用点にかかる重さを計算し、応用すれば遊びにも発展できるのだ。もっと早く知っていれば、苦手だった物理にも愛着が湧いていたかもしれない。

ただし、使い間違えて「えて公*14の原理」となりませんように。

(出典:YouTube

*1:焼き物を裏返したり炒め物を混ぜたりするのに用いる、柄のついた先の平たい道具。ターナー。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*2:【juice】汁。液汁。特に、果物・野菜のしぼり汁。果汁。また、広義にはそれを加工した飲料。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*3:【kop(オランダ)・洋盃・骨杯】ガラス製の飲み物用の容器。カップ。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*4:【internet】世界規模のコンピューター‐ネットワーク。複数のネットワークを相互接続するもので、これに繫がるすべてのホスト‐コンピューターは固有のIPアドレスで識別され、ネットワーク間を中継する仕組みによって全世界での通信が可能。アメリカ国防総省が構築した実験的な軍事用ネットワークから発展した。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*5:個人が専有し、小規模の利用に供する小型コンピューター。デスクトップ・ラップトップなどがある。パーソナルコンピューター。PC/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*6:【桜ん坊・桜桃】(サクランボとも)サクラの果実の総称。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*7:【Hotchkiss】紙綴器の一種。「コ」の字形の綴じ針を挿入し内側へ折り曲げることで、紙などを綴り合わせる具。綴込器。ステープラー。ホチキス。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*8:【ラテン Graecia】ヨーロッパ南東部,バルカン半島南端部とエーゲ海のクレタ島・ロードス島・レスボス島などから成る共和国。西洋文明の源流をなす古代ギリシャ文明の発祥地。紀元前八世紀頃,アテネ・スパルタなど多くの都市国家が成立,前五世紀にはアテネを中心に古典文化の最盛期を迎えた。一五世紀以後はオスマン帝国の支配下に入ったが,1821~29年の独立戦争に勝利し,王国として独立。1973年共和国となる。住民はギリシャ正教を奉じる。世界的な観光国で,オリーブ・ブドウなどを産する。首都アテネ。面積13万平方キロメートル。人口1113万(2007)。正称,ギリシャ共和国。ギリシア。〔「希臘」とも当てた〕/出典:スーパー大辞林3.0(三省堂 2014年)

*9:【Archimēdēs】古代ギリシアの数学者・物理学者。円・球・楕円・放物線およびそれらの回転体の求積法、てこの原理、アルキメデスの原理などを発見。(前287頃~前212)/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*10:【pyramid】石や煉瓦で造られた方錐形建造物の遺跡。古代エジプトで、前2700~2500年頃を中心に王のための葬祭施設の一部として建設。現存中最大規模はギザにあるクフ王のもので、底辺の1辺約230メートル、高さ147メートル。中南米に見られるものは主に神殿の基層で、頂部が平坦。金字塔。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*11:梃子(てこ)を支える固定した点。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*12:梃子(てこ)で物を動かす時、力を加える点。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*13:てこの3点の一つ。他の二つは、支点と力点。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*14:【猿公】「えて(猿)」を擬人化していう語。えてきち。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)