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広島東洋カープが独走?下克上の可能性を三方向から探る!

紅しょうがが載せられたソースたっぷりの広島焼き

次々と若手が台頭し、厚みを増していく投手陣。「タナキクマル」に加えて成長著しい鈴木誠也選手が打線の中軸を担う強力打線。今季も首位をがっちり守り、3連覇に向けて足場を固めつつある。しかし、その王者広島にも大きく分けて三つの死角が存在するのだ。

最大の不安は投手陣!特にリリーフに弱点あり

黒田博樹氏や前田健太投手が抜けた穴を活発な新陳代謝によって補ってきた投手陣。昨季は一気に若返りを目指したため、開幕当初は先発投手に対するいささかの不安も抱えられていた。

しかし、ふたを開けてみれば勝ち頭の薮田和樹投手が15勝を収め、岡田明丈投手が12勝、大瀬良大地投手も10勝と続き、周囲の不安を拭い去る大活躍だった。左右の主戦投手である野村祐輔投手やクリス・ジョンソン投手が本来の力を発揮できない中で、立派に投手陣を支えたのだ。

今季も昨季結果を残してきた若手投手陣に加え、一昨年16勝を挙げた野村投手と同じく一昨年の沢村賞*1投手であるジョンソン投手の復調が期待された。しかし、間隙を突かせない堅固な先発ローテーション*2の再構築に至っていないのが現状だ

大瀬良投手こそ10勝とエース*3級の活躍を見せているものの、野村投手とジョンソン投手の調子が上がってこない。さらに、薮田和樹投手と岡田明丈投手の制球難により、「フォアボール*4を出しては打たれる」の悪循環に陥る登板が目立つ。薮田投手は昨季の防御率2・58から4・74と悪化させ、二軍調整中だ。

しかし、最も深刻化しているのは「リリーフ投手陣*5」であろう。これまでブルペン*6の中心であった一岡竜司投手や中田廉投手だけでなく、勝利の方程式の一角である今村猛投手までもが軒並み不振で痛打を浴びる展開が増えている。また、以前からの課題である「左腕のリリーフ投手」の整備も解消できていない。

その苦しい台所事情を支えているのがジェイ・ジャクソン投手やアドゥワ誠ではあるが、このまま過負荷をかけ続けるのは危険だ。緒方孝市監督も「顔で抑えられる」今村投手や一岡投手をあえて二軍に落とさず、復調を我慢強く待っている。しかし、天下分け目となる大事な局面を見据え、再調整させるのも一つの戦略ではないだろうか。

いずれにせよ、投手陣は例年ほど盤石ではない。むしろ万策を尽くし、乗り切っている状態だ。序盤から先制され点差が離れると、あの広島打線をもってしても苦しくなる。不安を抱えるリリーフ投手陣に輪を掛け、負け試合の継投となれば追加得点の好機にも恵まれるはずだ。

だから、他チームは先制点を奪取し、「先行逃げ切り」の展開に持ち込みたい。接戦になればバント*7やヒットエンドラン*8だけでなく、進塁打や盗塁など攻撃の引き出しが非常に豊富で、多方面から精神的な重圧をかけられるのが広島野球。その得意の攻撃をさせないため、序盤からの積極的な攻撃がみそとなる。

広島の強力打線に穴がある

言わずもがなセ・リーグ*9を2連覇した最大の強みは打線である。今季は序盤に丸佳浩選手が負傷で離脱した影響もあり、奮わない時期もあった。しかし、7月に入ってからはチーム打率・総得点共にセ・リーグで先頭に立っている。

そんな名実相伴う広島打線であるが、不安を残すのが下位である。1番田中広輔選手の出塁から始まる上位打線は付け入る隙がないほどだ。菊池選手がつないでクリーンナップ*10の丸選手、鈴木選手、松山選手で得点を奪う形は確立されているが、それ以降の打順が流動的だ。

サード*11でレギュラー*12を嘱望されていた安部友裕選手は不振のため2軍調整中だ。また、サビエル・バティスタ選手も外国人枠の問題もあり、野間峻祥選手や西川龍馬選手とともにレギュラーをつかみ取るまでには至っていない。

つまり、相手チームからすれば、いかに切れ目のない1番からの打順で攻撃を始められないようにするかだ。仮にクリーンナップからの打順であれば、真っ向勝負を避けて攻撃力の落ちる下位打線との勝負も視野に入れるべきだろう。ただし、下位打線から攻撃が始まるなら、走者をためた状況で上位打線に回さないかが鍵となる。

接戦の終盤戦で上位打線から攻撃が始まるなら、「勝利の方程式」を前倒しで投入するのも作戦の一つとなろう。上位打線と下位打線をいかにして分断するかが広島打線攻略に重要となる。

広島の三つの守備位置に短所あり

守備面ではどうだろうか。最大の不安材料はキャッチャー*13である。パスボール*14や捕球などの守備率に問題はないが、盗塁阻止率に大きな欠点が見える。2018年7月11日現在で會澤翼捕手が盗塁阻止率1割6分0厘であり、これがチーム最高の成績である。盗塁阻止率がセ・リーグで一番の読売ジャイアンツの小林誠司捕手とは1割以上も差が開いている。

セ・リーグの盗塁阻止率(2018年7月11日現在)

順位 氏名(チーム名) 盗塁阻止率
1 小林誠司(巨人) .280
2 中村悠平(ヤクルト) .273
3 梅野隆太郎(阪神) .262
4 嶺井博希(DeNA) .250
4 松井雅人(中日) .250
6 大野奨太(中日) .196
7 會澤翼(広島) .172

盗塁阻止率は投手や野手との共同作業であり、キャッチャーのみに責任があるとは言い切れない。しかし、広島が盗塁に対して弱いのは明確である。俊足の走者以外にも盗塁を許す場面も目立つので、この弱点にどれだけ付け込めるかが勝敗にも影響してくる。走塁で揺さぶりをかけ、主導権を握れるかどうかが広島攻略において重要だ。つまり、盗塁阻止率の低さを逆手に取り、一塁走者がいる場合は送りバント*15をするのではなく、エンドランやバスター*16を仕掛けていきたいところだ。

また、レギュラーが固定できていないサード*17とレフトも守備に不安が残る。

サードは安部選手が2軍降格以降は西川選手が主に起用されているが、6失策で守備率9割0分3厘と心許ない。規定に到達している三塁手の中で最低の守備率が阪神タイガースの大山悠輔選手だが、それでも9割5分8厘の数字である。

レフトに関してもバティスタ選手が2失策しており、松山竜平選手も1失策ながら決して安定した守備力とは言い難い。

攻撃側はサード側へのバントやヒットエンドランで揺さぶる。また、レフト側への飛球には「一つ先の塁を狙う」思い切った走塁でエラー*18を誘発させたい。

守備を重視した選手起用をすれば、その分自慢の攻撃力は欠ける。つまり、サードとレフトの弱点をどれだけ突けるかも広島攻略の糸口となろう。

まとめ

連覇を達成した広島は打線が投手陣を補う試合運びで勝ち抜いてきた。今季は特に昨季15勝の薮田投手と13勝の岡田投手が思うように力を発揮できておらず、打高投低の傾向が顕著になっている。

それでも7月に入りセ・リーグで独走態勢を築きつつある。他チームはエース級の投手を広島にぶつける「包囲網」を整えるべきだが、それと同時に弱点を徹底的に突いていき、主導権をわたさない戦術も必要となってくるだろう。

広島が強いのではなく、他チームがだらしないと見る向きもある。どのチームも戦力が整わず、決定打が出ない悩みを抱えているが、うまく整備さえすれば広島に追い付いてもおかしくないのが今季のペナントレース*19だ。願わくば広島を他チームが捕らえ、団子状態のままクライマックスシリーズ*20に突入する「熱い戦い」を期待したいものだ。

お好み焼き同じように、広島をひっくり返すのは果たしてどのチームになるのやら。

*1:プロ野球で、その年に最も活躍した先発完投型投手に与えられる賞。1947年沢村栄治の業績を称えて創設。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*2:【rotation】(回転・循環の意)野球で、先発投手の順番を決めて起用すること。また、その順序。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*3:【ace】スポーツで、チームの主力選手。特に、野球チームの主戦投手。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*4:(和製語)野球で、投手が打者に対して、1打席中にストライクでないボールを4個与えること。打者は一塁に進むことができる。四球。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*5:【relief】野球で、先発投手以降に救援で登板すること。また、その投手。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*6:【bullpen】(「牛の囲い場」の意)野球の試合中、投手が肩ならしをする、囲いのある投球練習所。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*7:【bunt】野球で、バットを振らず軽くボールに当てて内野にゆるく転がす打ち方。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*8:【hit-and-run(アメリカ)】野球で、走者と打者とが示し合わせ、投手が投球動作を起こすと同時に走者は次塁へ走り、打者は必ずその球を打つ攻撃法。ラン‐エンド‐ヒット。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*9:【Central League】日本のプロ野球リーグの一つで、6球団が所属。1949年結成。正式にはセントラル野球連盟。略称セ‐リーグ。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*10:〔和製語 cleanup+trio〕野球で,走者を一掃できるような長打力をもつ三人組の打者。普通,三・四・五番の強打者をいう。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*11:【third】(サードベースの略)野球で、三塁。また、三塁手。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*12:【regular member】正式の成員(会員など)。正選手。常連。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*13:【catcher】野球で、本塁の後方にいて、投手の投球を受け、また本塁の守備に当たる人。捕手。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*14:【passed ball】野球で、捕手が捕球可能な投手の投球を後逸(こういつ)し、走者の進塁を許すこと。捕逸。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*15:野球で、走者を次の塁に進めるために行うバント。犠牲バント。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*16:(和製語 bastard fake buntの略)野球で、打者がバントすると見せかけて強振すること。擬装バント。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*17:【third】(サードベースの略)野球で、三塁。また、三塁手。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*18:【error】野球で、失策。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*19:【pennant race】優勝旗争奪戦。特にプロ野球で、リーグ優勝を争う公式戦。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*20:〔和製語 climax+series〕プロ野球セパ両リーグで行う,日本シリーズ出場権を争う試合。ペナント戦の上位 3 球団が出場して,2 位・3 位球団が 3 回戦制で対戦,その勝者と 1 位球団(アドバンテージ 1 勝)が 6 回戦制で対戦する。ただし両リーグの優勝球団はペナント戦の勝率 1 位の球団とする。2007 年(平成 19)より実施。CS。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)