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航空機から投下されたドラム缶!水面を滑るように跳ねる

航空機から反跳爆弾に模して落とされたドラム缶

今から80年ほど前に第二次世界大戦が開戦した。それから、世界中の至る所で戦争は行われ、多くの尊い命が犠牲になった。また、列強諸国が軍事力拡大を目指していた当代に幾多の兵器が発明された。この一風変わった爆弾もその一つである。

第二次世界大戦当時の爆弾をドラム缶で実演

画面に登場するのは航空機の下に積載されているドラム缶*1。穏やかな水面の上空を飛行しているようだが、これだけでは何が主題なのか皆目見当が付かない。

この動画では「反跳爆弾」の爆弾部分をドラム缶で代替し、当時と同じように水面を跳ねて転がるか試運転するというものだ。この原案となっている反跳爆弾は第二次世界大戦*2中に使用された爆弾の一種で、爆撃機*3から投下された爆弾は水切り*4のように水上を跳びはね、敵船やダム*5に壊滅的な打撃を与えていたそうだ。

水上をはうようにドラム缶を飛ばすため、適切な速度や投げ落とす高さなど、精緻な調整が困難を極めそうだ。航空機の速度不足や高度超過だとドラム缶は跳ねることなく、ぽちゃんと水中に沈んでしまうだろう。また、両方の釣り合いが取れていないといけない。さらに、風向、風力、水位などの自然現象にも左右されるはずだ。

これらの緻密な準備と実行の末、低い弾道で標的に見事にぶち当たるドラム缶。なんだか野球のバッター*6が打った、球足の速いゴロ*7を見ているようだ。ダムの堤に当たって跳ね返ったドラム缶はフェンス*8直撃の2塁打といったところだろうか。

世界中で戦争が行われていた時代の産物

水面に反射する光

反跳爆弾は第二次世界大戦中に、敵国のダムや船舶を大量破壊するために開発された爆弾だ。水面を低空で跳びはねるのも、その加速を生かして敵の船団やダムを洗いざらい破壊するためだ。

爆弾一つで敵船の集団に壊滅的な痛手を負わせるとは効率的だ。しかし、それはあくまで机上での形容であって、実戦配備されていたことを考えると恐ろしい。このような兵器を枢軸国と連合国がしのぎ削って開発していること自体、当時の世相を思い起こさせる。

血で血を洗うのは真っ平御免だ。世界中の水面(みなも)に映るのは爆撃機ではなく、水切りを楽しむ子どもの笑顔でなければならない。

(出典:YouTube

*1:鉄板でつくった大型で円筒形の缶。ガソリンその他液体または半流動体を入れるのに用いる。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*2:ファシズム体制をとる日・独・伊3国(枢軸国)と米・英・仏・ソなど連合国との間に起こった世界的規模の大戦争。1939年9月ドイツのポーランド侵入、英・仏の対独宣戦により開始。41年6月独ソ戦争が勃発、同年12月太平洋戦争が起こり、戦域は全世界に拡大。42年夏以降連合国軍は総反攻に転じ、43年にはスターリングラードにおけるドイツ軍の大敗、イタリアの降伏、45年5月ドイツの降伏、8月には日本の降伏となって終了。第二次大戦。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*3:爆弾などを搭載して爆撃を行うための航空機。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*4:水面に小石を水平に近く投げ、石が水の上を飛びはねて進むのを興じる遊戯。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*5:【dam】発電・利水・治水などの目的で水をためるために、河川・渓谷などを横切って築いた工作物とその付帯構造物の総称。河川法では高さ15メートル以上のものをいう。ロックフィル‐ダム・アーチ‐ダム・アース‐ダム・重力ダムなどがある。堰堤(えんてい)。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*6:【batter】野球で、打者(だしゃ)。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*7:(グラウンダーの略訛か)野球で、地上を転がる打球。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)

*8:【fence】特に、野球のグラウンドを囲む柵や板囲い。/出典:広辞苑 第七版(岩波書店 2018年)